不具合:モノルビのバグ

検証環境:WindowsXP pro sp2 / InDesign CS2 (4.0.5)

ミシマバイカモさんに教えていただいた情報です。
知らないと印刷事故につながりかねない重大なバグだと思います。


複数の文字スタイルが用意されています。
今回は2種類のスタイルを用意し、そのうち一方のスタイルを適用して「蒋介石」の文字列を入力。
「蒋」の文字はCID:7706(ユニコード:8523)の文字に変更したいので、字形パレットを利用して入力し直します。


「蒋介石」の文字列全体を選択し、モノルビを入力します。


一旦ドキュメントを保存して閉じます。


お客様から校正が戻ったという想定で、再びドキュメントを開きます。
訂正指示は、仮に本文中の新ゴMを全て太ゴに変更せよという内容だったとしましょう。
文字スタイル「新ゴM」を削除し、文字スタイル「太ゴ」に置換する手法が思いつきます。
もしスタイル未使用の文字列があっても、後でフォントの検索・置換をすれば取りこぼし無く置換できます。


なんじゃこりゃ!?

大抵のオペレータは、あわててアンドゥーするのではないでしょうか。私も例外ではありません。
問題は、上記のような置換操作だと表示ページ以外の文字列も置換してしまうため、
ルビの変化に気付くことができない可能性が非常に高い=事故につながりやすいと言えます。


さて、一旦アンドゥーしたものとして、「蒋」だけを選択してルビ文字列を確認すると……

今回のルビは「蒋介石」に対してまとめて振ったモノルビです。
本来、先頭の1文字だけを選択してルビダイアログを開いても、すべての親文字が選択されるはずなのに「蒋」しか選択されていません。


次に「介石」だけを選択してルビ文字列を確認すると……

なぜか、「蒋」にも「介石」にも全てのルビ文字列が設定されています。
しかし、ドキュメント上では正常にルビが設定されているようにしか見えません。


試しに、スタイル削除の際、別のスタイルを適用しないようにすると……


なんじゃこりゃ!? その2(予想通りですね^^;)


対症療法に過ぎませんが、ルビの親文字が字形パレットで異体字入力した文字を含む場合、
文字スタイルの変更は検索と置換で行った方が安全だと言えます。


ルビ設定の二重化が解消されるわけではありませんが、ひとまず見た目は問題なく置換できました。


なぜこのような現象が起こるのでしょうか。
下図を見ると、「蒋」は欧文合字のチェックが外れているのに対し、「介石」はチェックが入っているのがわかります。


もとの「蒋介石」はInDesignの初期状態で「欧文合字」にチェックが入った状態で入力されていました。
しかし、字形パレットから入力した「蒋」はなぜか「欧文合字」のチェックが外れてしまうようです。
このように文字に対する設定が異なる文字列にルビが掛けられたので、「蒋」と「介石」に分離してルビの選択ができる状態になってしまったと考えるしかなさそうです。

その理屈であれば、デフォルトで「欧文合字」のチェックを外しておけばこの不具合を回避できそうなものですが、今回の検証ではそれでもダメでした。
なお、知る人ぞ知るCID番号による異体字入力プラグインで入力したものについては、「欧文合字」のチェックが外れることはなく、この不具合は起きませんでした。

謎は深まるばかり。この問題、CS3でも直っていません。
Adobeさん、是非とも対処してください。
(2007/07/13現在)


なんでやねんDTP:ルビの親文字の字形変更にて詳しい追試をなさっていた。
「欧文合字」のチェック有無とルビの二重化には相関関係がないことが判明。

また、同記事の中で、先にルビを設定したあとで親文字を異体字に差し替える際、字形パレットのパレットメニューを使い、
今回の件では「エキスパート字形」もしくは「JIS78字形」を選んでやればルビ文字が解除されることなく字形を変更できることが判明。

さらに、同記事のコメントでこの記事の情報提供者ミシマバイカモさんが次の発言をなさっていた。
『この不具合(たぶん、文字スタイル削除で起きる部分)については、(株)モリサワ様経由でAdobeに連絡していただき、
対応してもらえる旨の回答をいただきました。』

(2007/08/31現在)


track feed inserted by FC2 system